この記事を読んでいるあなたは
- 微酸性電解水ってなに?
- 特徴や効果は?
- どんなメリットとデメリットがあるの?
上記のように考えているかもしれません。
この記事では、微酸性電解水の特徴とメリット・デメリットについてお伝えしていきます。
微酸性電解水とは
微酸性電解水の正式名称は、「微酸性次亜塩素酸水」。次亜塩素酸の中で、5.0~6.5の微酸性の水溶液のことです。
厚生労働省の分類では、次亜塩素酸水は3つの区分に分類されます。
微酸性次亜塩素酸水 | 弱酸性次亜塩素酸水 | 強酸性次亜塩素酸水 | |
pH値 | 5.0~6.5 | 2.7~5.0 | 2.7以下 |
使用濃度 | 10~80ppm ※塩酸が原料であれば10~30ppmで効果あり | 10~60ppm | 20~60ppm |
主な製造方法 | 塩酸または塩酸+塩化ナトリウム水溶液を電気分解 | 塩化ナトリウム水溶液を電気分解 | 塩化ナトリウム水溶液を電気分解 |
主成分 | 次亜塩素酸 | 次亜塩素酸 | 次亜塩素酸 |
微酸性電解水の主成分は「次亜塩素酸」で、「塩酸」または「塩酸+塩化ナトリウム水溶液」を電気分解することで生成されます。特に塩酸を原料とするものは殺菌能力が高く、塩素濃度10~30ppmでも微生物を殺菌できるのが魅力です。
微酸性電解水のメリット
ここでは、微酸性電解水のメリットを3つ紹介します。
高い除菌効果と安全性を兼ねる
ひとつめのメリットは、除菌効果と安全性の両方が高いことです。
微酸性電解水は、次亜塩素酸の比率が高いため、塩素濃度が低くても除菌効果が高いという特徴があります。10~80ppm程度という低い塩素濃度で、大腸菌や黄色ブドウ球菌といった一般細菌から、ノロ、インフルエンザなどのウイルスまで、幅広く除菌できます。
また、残留性が低く、安全性が高いことも魅力です。微酸性電解水は、菌と接触することで素早く分解され、水だけが残ります。食品にニオイが残る心配や排水後に環境に悪影響を及ぼす心配がいりません。
微酸性電解水の安全性は、下記6種の試験で実証されています。※微酸性電解水協議会発表
- 水道法試験
- 食品衛生法飲適試験
- 微生物を使った変異原性試験
- マウスによる急性毒性試験
- マウスを使った90日間投与亜急性毒性試験
- ウサギを使った眼刺激性・皮膚刺激試験
手荒れの心配が少ない
ふたつめのメリットは、手荒れの心配が少ないことです。
微酸性電解水も人の肌も、弱酸性です。近い数値をしているために刺激が少なく、手荒れを起こしにくいという特徴があります。
- 人の肌のpH値:4.5~6.0
- 微酸性電解水のpH値:5.0~6.5
中性の数値である「7」に近いほど手荒れを起こしにくく、「7」よりも低く・高くなるほど手荒れを起こしやすい
塩素消毒やアルコール消毒を使っていて、手荒れに悩んでいる人にも、微酸性電解水はおすすめです。
金属に対する腐食の影響が少ない
みっつめのメリットは、金属に対する腐食の影響が少ないことです。
ただし、これは製造方法によって変わります。
塩酸を原料として生成した微酸性電解水は、ナトリウムを含まないため、器具や排管に流れても変色やサビ起こしにくいという特徴があります。
塩化ナトリウム水溶液を原料にして作られた微酸性電解水や、同じく除菌用に使われることが多い次亜塩素酸ナトリウム液は、金属を変質させやすいです。
原材料を見て微酸性電解水を選ぶことで、より幅広い用途で使用できるようになりますね。
微酸性電解水のデメリット
つづいて、微酸性電解水のデメリットを2つ紹介します。
よごれがある場所では効力を失う
ひとつめのデメリットは、よごれに弱いことです。
これは、メリットとして挙げた「安全性」と表裏一体の特性です。
前述の通り、微酸性電解水は菌などの有機物と触れると、塩素が分解されて効力を失ってしまいます。
つまり、ノロウイルスや大腸菌に効果的だからといって、嘔吐物を微酸性電解水で拭き取るだけでは、十分な効果は得られないということです。
微酸性電解水を使って除菌をする場合には、あらかじめ除菌箇所を洗浄し、きれいな状態にしてからおこないましょう。
また、拭き取りに使う雑巾にも注意が必要です。
- 雑巾はあらかじめきれいに洗っておく
- 除菌後の雑巾は一度きれいな水で洗ってから、微酸性電解水で濯ぐ
というように、洗浄と除菌は段階を分けておこなうことが大切です。
紫外線に弱く保存に注意が必要
ふたつめのデメリットは、長期保存がきかないことです。
微酸性電解水を含め、次亜塩素酸水は不安定なバランスで成り立っており、時間経過や紫外線によって分解が進んでしまいます。
適切に保存すれば、未開封・未希釈の状態で半年~1年ほどはもつと言われていますが、早めに使いきるに越したことはありません。
使用期限を守ることはもちろんのこと、遮光性のある容器に入れて、直射日光の当たらない場所で保管しましょう。高温になるほど早く分解する性質があるため、冷暗所が望ましいです。
もし可能であれば、保管しておいた微酸性電解水を使うときには、試験紙で塩素濃度を確認すると良いでしょう。
微酸性電解水のメリットは高い除菌力と安全性・デメリットは分解の早さ
微酸性電解水は、除菌力と安全性が高く、使用の最中に手指に付いても肌荒れを起こす可能性が低いことがメリットです。
菌に触れた時点で分解されるため、水のような感覚で使える除菌水だと言えるでしょう。
一方で、分解のされやすさがデメリットにもなってしまっています。よごれている場所では除菌効果が薄まるため、前もって洗浄をおこなうことが大切です。
また、時間経過・紫外線・高温でも分解が進み、塩素濃度が低くなります。保管の際は、遮光性のある容器に入れて冷暗所に置き、なるべく早めに使いきるようにしましょう。